上の写真は井草の家のキッチン前の窓ですが、このキッチンは庭に面していて調理中にちょうど緑を見れるためFIX窓としています。工事中で見苦しい状態ではありますが、余計な縁などがないのですっきりと庭の緑を切り取るように設計されています。FIX窓は屋内から外側のガラスを拭けないので設置場所には検討を要しますが、視界と光の確保には最適です。これが一般的な引き違い窓になると下の写真のように真ん中に桟が入り周囲に窓枠が出来るので視界も一回り狭まります。さらに網戸も入ってくるので半分は見え方がぼけますし、キッチン前だと掃除の面倒さも倍増します。
一般的な窓の存在意義は
・光を採り入れる
・景色を見る
・出入りする
・風を通す(換気をする)
・音を通す
といったところでしょうか。
多くの住宅ではこのような機能をあまり意識することなく何でも開く窓にしていて、せいぜいガラスを型板にするか透明にするか程度の検討しかされていないようです。確かに、特に都市部においては周囲の環境も変わりやすく、なるべく汎用性を持たせた窓にしておくというのは一つの回答だと思います。しかしながら、概して用途を絞った物の方が美しくなるので、そのような窓をうまく配置できるかというのも設計の面白さです。
上の写真は過去に設計した家で廊下の突き当たりに裏のハナミズキを見るための休憩スペースを設けた例です。ここは廊下の突き当たりで通風もほしかったため、ハナミズキを見るためのFIX窓のほかにカウンターの下に通気用の窓を用意しました。このような窓を設置することで家の中の活用できるスペースが増え、結果的に家をより広く使えるようになります。(柳本)