井草の家 空間を繋ぐカウンター

最近ではキッチンとリビングダイニングが一体となっていることが多くなってきました。この手法を用いますと空間が大きく取れますし、キッチンで作業していても孤立しにくいというメリットがあります。一方で、どうしてもキッチンが雑然としやすいために見たくないものまで見えてしまうなどといったデメリットもあります。このデメリットは対面型(fig.1)であればキッチン前にカウンターを立ち上げることで手元を隠すという手法があるのですが、井草の家はキッチンが庭に面していることで作業中に緑が見えるよう外壁に沿わせたためダイニングから側面が見えるプラン(fig.2)になりました。この位置関係ですとカウンターを設けても手元を隠しきれません。

plan
そこで、今回はカウンター自体がスライドして隠したい場合は隠せるというように設計しました。あまり高いカウンターだと空間の繋がりが弱くなるため、多少見えにくくなるというレベルの高さに設定しましたが、この程度でも閉じていると心理的に目が行きにくくなるため効果はあります。

閉じたカウンター
開いたカウンターこのようにカウンターを開いた際には動線を塞ぐことになるため、小さなお子様がキッチンに入るのを防ぐ役割も果たします。また、キッチンとリビングダイニングが廊下を介しても繋がるよう裏動線を設計してあるので、カウンターで塞いだままでも往来が出来ます。

ちょっとしたことですが、このようにゆるく閉じたり開いたりできる仕掛けがあると部屋の使い方にバリエーションが出来て生活の幅が広がると思います。(柳本)