褪光の家


<概要>
場所:千葉県市川市
面積:床面積88㎡
構造:RC造

ご夫婦とお子様のためのマンションリノベーションです。

低層マンションの1階角部屋で、4LDKだったものを将来子供室を増設する可能性を残した遊び場付き2LDKとしました。

落ち着いたインテリアをお好みで、小さなお子様がいるもののあまり子供っぽい要素は入れず、素材感を大事にした計画となりました。

物件は直床のため、水回りの移動と天井高さの確保を両立するのが難しかったのですが、キッチンの排水を軸に90度回転させることでリビング・ダイニングスペースが拡張でき、キッチンからも全体が見渡せるようになりました。

また、元のリビング・ダイニングは3方が窓に囲まれており少し落ち着きに欠けるため、西側の通りに面した窓を一つ隠蔽して大きな壁面をつくり、リビングに安定感をもたらしています。

キッチンの変更に合わせて洗面脱衣スペースも拡張し、玄関からリビングが丸見えにならないようなレイアウトとなっています。廊下突き当りの曲面の壁は洗面脱衣室内の通路の確保とLDKからの光を廊下に反射させる2つの役割を持っています。

内装は落ち着いたグレーのクロスとポーターズペイントを主体とし光が拡散していくマット(褪光)な空間に、ところどころに真鍮の金物が鈍く光ります。

南面(写真左手)はほぼ前面が窓ですが、レースのカーテンが柔らかい光を部屋に拡散します。正面とキッチンバックの壁は施主施工によるポーターズペイント。元々は梁型や柱型で結構がたがたしていたのですが、要素を整理し極力線を消して落ち着きをもたせました。

上の写真のアングルでのビフォー・アフターです。

LDKの奥に将来子供室となることも見据えた遊び場があります。大人っぽい空間ながらも庭と一体でのびのびと遊べるスペースになっています。左端のドアは廊下からの入り口で、その隣の壁に馴染ませたドアは洗面脱衣室の入り口です。

遊び場は南庭に面して明るく、外に出ると水場があり、夏はプール遊びなどもしやすい環境になっています。

キッチンからは全体が見渡せます。正面のエアコン横はエアコンの配管の隠蔽と柱型の存在感を減らすための措置として収納を設けていますが、扉も壁に馴染んでいるためその存在にはなかなか気づきません。

柱型に隠れた収納

収納に近づくとライン状の把手の存在に気づくでしょうか。レースカーテンの織りなす陰影とポーターズペイントの壁に挟まれているのも存在を目立たなくする一因かもしれません。

ポーターズペイント

施主施工のポーターズペイントの壁の素材感がチークの家具とよく合っています。

キッチン側を見る

キッチンの左側にも収納があります。こちらは梁幅を使って扉を斜めに配置することでキッチン上の梁の存在感を軽減しています。

真鍮枠を活かした把手

収納の把手は彫り込みにしてキッチン脇の壁のキッチンパネルの見切りを兼ねた真鍮枠を見せています。

キッチンバック収納はタモの突板に塗装ですが、単純なリピート柄を避け板目と柾目を交互に張り合わせる少し手間のかかる仕様になっています。冷蔵庫は正面の窓の左手に入れて存在感を消しています。

真鍮とラワン

キッチンパネルの冷蔵庫側の納まりは、コストコントロールしつつも素材感を楽しめるように真鍮と馴染みの良いラワンを並べています。

洗面脱衣室はラワンをベースとし、既製品の洗面台とも一体感が出るように考えました。

廊下に面する建具は既存のものですが、壁より少し濃いグレーに塗装して全体と馴染ませています。廊下の照明は玄関上部に設けた間接照明だけとして天井をすっきりとさせています。

玄関のビフォー・アフターです。元のようにリビングまで見えるようにすると明るさは取れますがプライバシー的にはあまり好ましくありません。どちらを取るかはケースバイケースですが、今回はプライバシーを優先したプランとなっています。曲面の壁にリビングからの光が当たり、その先の明るさを暗示しています。

団らんの様子を廊下から。玄関から丸見えにならないことで常にプライバシーが保たれた状態のリビングではよりリラックスしやすいのではないでしょうか。