街角の森閑

<概要>(新築)
場所:東京都目黒区
延べ面積:146.87平米
構造:木造3階建て

角地に立つ3階建ての木造住宅です。
以前弊社で手掛けた「YK HOUSE」の施主がこの場所に移住することに伴い建て替えとなりました。
主に生活するのは2階と3階で、1階は駐車場と、将来賃貸化も視野に入れたスペースとなっています。

敷地は台形で、角から奥に行くにつれて広がっていくような形状になっており、平面形状も敷地に合わせて台形となっています。

容積率には余裕があるものの、ワンフロアに必要な要素から、敷地いっぱいの建物になるということもあり、通りに対しての圧迫感を少しでも軽減するために角地に来る部分は曲面として、3階部分をセットバックさせています。

性能面では、構造的には耐震等級3、省エネ性能は外皮性能は0.39W/m2K(等級6)、BEIは0.6を達成し、東京ゼロエミ住宅の水準3を取得しています。

断熱は壁/屋根ともに外断熱(アキレス ジーワンボードt30 / キューワンボードt100)+ 充填断熱(池田コーポレーション シュタイコゼルt100)としています。
※シュタイコについてはこちらのブログ記事もご覧ください。

かなり交通や人通りの多い道路に面していますが、ノイズの少ない内装とシュタイコの吸音効果が相まって一歩建物に入ると静かな空気が流れています。

玄関は2面の道路のうち人通りが少ない方に面して設け、玄関ドアを開けた状態でも内部の様子はほとんどわからないようなレイアウトとしています。

玄関ドアは延焼の恐れのある範囲を逃げて木製の断熱建具を製作しています。

玄関内から駐車場側へも出られるようにしていますが、そちらのドアは目立たないようにベイツガの羽目板の壁になじませています。(下の写真の矢印を動かせます)

コンパクトな玄関ですが、玄関収納やクロークが併設されています。
玄関収納内の壁は桐合板です。

階段はタモの無垢材、壁は左官になります。

2階へ上がるとLDKに出ます。

リビング・ダイニングは曲面の壁を含む天井が低めの部分と、3階へ上がる階段周りの吹き抜けを組み合わせて開放感と落ち着きを両立させようと考えました。

壁天井ともに左官で、曲面の壁のもつ柔らかい光の反射具合がより効果的に感じられると思います。

周囲が集合住宅に囲まれ、人通りの多い通りに面していることもあり、メインの開口部分は慎重に吟味して緑が感じられ人目が気になりにくい位置に絞り、大きな壁面を作ることで落ち着いた空間になるよう計画しました。

壁面の開口をかなり絞ったため、2つの天窓で光量を補っています。

また、3階の階段室および吹き抜けに面した南面に大きめの開口を設け、そこからの光も間接的に取り入れています。

キッチン壁は2つのタイルを組み合わせています。
奥まった部分にある天窓からの光がとても効果的に入ります。

キッチンからも外の緑が感じられます。

キッチンの奥はパントリーになっています。

2階はLDKの他に水回りと一つの個室があり、1フロアでも最低限の生活ができるようになっています。

洗面台周りはモールテックスで仕上げています。

3階へ上がる階段はLDKと一体となり、空間の広がりに寄与しています。

3階は2つの寝室とトイレとなっています。

寝室は壁天井ともに桐を採用し、左官とは違った柔らかさ、温かみを感じる空間となっています。

寝室の窓も緑を感じられる位置にとっています。

建具の表材には安多化粧合板の大雪山のナラの突板を、レバーハンドルをはじめとする金物はformaniのFerroviaシリーズを採用しています。
木材の持つ雄大さと慎ましくも凛とした金物の組み合わせがシンプルな空間を引き立てます。

寝室奥のウォークインクローゼットは斜線の関係で天井が低くなる部分を活用し、こちらも桐合板で仕上げています。