森に降りる家

南側ファサード<概要>(新築)
場所:長野県軽井沢町
延べ面積:132平米
構造:木造2階
メディア:merci 2020 FALL

軽井沢の森の傾斜地に建つ別荘です。
東に傾斜する土地で、道路面から見ると平屋の高さの建物になり、景観への影響は最小限に留まるよう計画しました。

南ファサードと森

前面道路から見たファサードです。
外壁は森に馴染む縦ルーバーで、緩勾配の屋根とすることで奥の木立も見える高さに抑えています。
2階から入ることになりますが、実は駐車場部分と建物の間には空間があり、そのままだと気をつけないと落ちてしまいます。
そこで鋼板で制作したの玄関ポーチを外壁に接合して駐車場部分への橋渡しとし、落ちることなく入れるようになっています。

西側ファサード

鋼板の玄関ポーチ。

エントランス

駐車場部分と玄関ポーチの取り合い。

跳ね出しのエントランス部

玄関に入ると正面に個室がありますが、落ち着きを出すために入り口を壁面と同じ素材の大きな引き戸とすることで扉自体の存在感を軽減しています。
この部分は玄関として軽すぎず、かつ重すぎない印象になるように素材は75mm幅のラワンの羽目板を選んでいます。

扉と壁面の切り替えのディテールです。
壁と扉の一体感を持たせるために材料を合わせるだけではなく羽目板の割付を計算しています。

寝室入り口ディテール

玄関ホールから階段で降りるという少し不思議な空間。

玄関ホールから北を見る

玄関には収納を設けていますが、一部を廊下側から使える洗濯機収納にしています。

玄関框とフローリング、吹抜けの納まりです。
框はタモ無垢材、フローリングはブラックチェリー挽板、見切りは真鍮です。

玄関框とフローリングと吹抜けの納まり

階段から玄関ホールとリビングの一部が見えます。
道路から建物の間が急斜面なので、1階は道路側(写真左側)からも光が入ります。

階段からLDKと玄関ホールを見る

階段はタモの無垢材で、手すりは鉄骨と真鍮などを組み合わせています。

階段の構成

階段を降りるとリビング。
壁と天井の羽目板はアガチスで、2階のラワンの羽目板より少し木目がおとなしく明るい材料なのと、天井高さが2.8mと通常よりかなり高いので、天井全面を羽目板で覆ってもうるさい感じは出ません。

階段からLDKを見る

1階の階段前のスペースは1階の床高より少し高くなっていて、やや落ち着いた雰囲気で読書などを楽しめるスペースとなっています。

階段入口

1階の西側は斜面なので景観は望めず、採光と換気のための低めの窓を一つだけ設けています。
一見FIX窓のように見えますが、全開口の引き込みサッシの枠を隠して納めています。

リビング西窓

1階はLDKのみのワンルームとなっています。
キッチン部分のみ天井を下げて少し落ち着かせています。

デッキ入り口からLDKを見る

東傾斜なので、東面は地盤面からすると2階程度の高さになります。
そのため、密集した木立からもさほど圧迫感を感じさせません。

リビングダイニング東面

ダイニング前の窓は景観を見ることに特化したFIX窓としています。

ダイニングからの景色

キッチン前の窓は通風のため大型のすべり出し窓を木枠で制作していますが、ここも框を見せない作りにすることで景色をきれいに切り取っています。

キッチンからの景色

南東のコーナー部は天井までのFIX窓でデッキとの一体感を演出しています。
デッキに出るために南面に隠し框の木製引戸を設けています。

リビング南面

デッキに出て東側の景色。

デッキから東を見る

デッキから南側の景色。
南と東側にはこれ以上建物が立つこともないので、この景色をいつまでも楽しめます。

デッキから南を見る

室内に戻ります。
1階は別荘とはいえキッチン以外の収納が殆ど無いので、階段下の一部を収納にしています。
階段の下面出角は物を取るときなどに頭をぶつける心配があるので角を落としています。

2階に戻ります。
南東の角部屋は主寝室となっています。
にぎやかなリビングを離れ、ここでゆったり景色を楽しむこともできます。

主寝室

主寝室に接続する形でメインバスルームがあります。
この窓はかなり大きいですが、全開口の引き戸となっていて風を感じながらの入浴が楽しめます。
東斜面に面するため、基本的には外から見られる心配もなくブラインド類は付けていません。

メインバスルームの窓

メインバスルームの洗面台

2階南西角は来客用の和室になっています。

和室

再び外に出ます。
北側の沢を挟んだ向こうの道路からの外観です。
こちらの道路は建物の地盤面より低く見上げる形になるので黒をベースとした外装で存在感を消しています。

北ファサード

ここからは細かい部分の話になります。

階段下の窓と西側の窓は既製品の全開口サッシを採用しています。
既製品で唯一四方の框が見えないとても良い商品ですが、内部の枠色が白しかなく、また、操作部の金物がやや目立つという難点があります。
階段下はあまり目につかない場所なので普通に納めています。

サッシディテール2

一方、西側の窓は比較的目に付く場所なので、内枠全体を造作材で覆い、最小限の部位のみが見えるようにしています。

サッシディテール1

1階南東角のFIX窓の幅は天井の羽目板の目地に合わせた寸法になっています。
このように全体を整理することで部屋が落ち着いた印象になります。

天井と窓枠

2階の和室の窓はFIX窓風に外壁になじませた制作の木製滑り出し窓です。
ここも外壁のルーバーのピッチと窓位置を合わせています。

窓を開く

玄関ドアと鋼板ポーチの取り合いは外壁材を見せずにすっきりと納めています。
亜鉛メッキ鋼板と真鍮、木材の素材感と経年変化が楽しめます。

玄関前ディテール

他の季節の写真がmerci 2020 FALLで見ることができます。