井草の家、リノベーション中です 5 ~建築と色の話~


井草の家も引渡しまで残り1ヶ月余りとなりました。

形が見えてきてようやく建築主も実感を持って仕上げをイメージできるようになるころです。仕上げの決定というと、一番難しいのは色決めではないでしょうか。

自然素材系ですと、例えば木などがわかりやすいですが素材自体に色むらがあるためサンプルがあってもその通りというわけではありません。サンプルと仕上がりの差というのも気にされる方は少ないので、設計者側としても実は気が楽だったりします。

しかしながらベタ塗りの塗装仕上げの場合等は塗装日の湿度や刷毛使いなどで同じ調合でもサンプルと色味が違うといったことがあり、サンプルと並べて「違うじゃないか」という話になることも稀にあります。また、サンプルは多くの場合A4からA3サイズ程度なことが多く、壁全体を塗ったときに思ったより薄いとか濃いとかになってしまうことも多いです。もちろん予め「実際は薄くなりますよ」とか話はするのですが、イメージを持って頂くのはなかなか難しいものがあります。

例えば上の画像は日塗工の99-70Dという色番号と実際に壁に塗った写真を並べたものです。写真ですので実際に目で見るのとも多少違いますが、印象としては壁の方が薄く感じるのではないでしょうか。

そもそも色というのは反射の産物ですので、色を塗る下地の凹凸や光源によって全く違った見え方をします。例えば写真の外光の当たっている場所と照明の光で照らされている場所、陰になっているところなどから抜き取った色サンプルが下のものです。

さらに、実は同じ色を同じ条件で見ても見ている人の状態によって見え方というのは違います。簡単に言うと怒っている時と弛緩しきっている時では違う見え方をするのです。これは音や匂い、味なども同様で、つまり人間の五感で知覚するものというのは正確な共通認識を持つことはできないのです。

少し話が面倒くさくなってきましたが、つまるところ家を建てるときに限らず、何かを選ぶ時には自分の感覚を過信せず、あまりこだわり「過ぎない」というのが大事だと思います。自身が「良かった」と思って見ると良く見えてくるものなのです。(柳本)