住宅設計者の自宅設計 11 実験


これまで設計中に出たアイディアで提案を躊躇したものは少なからずあり、そうしたアイディアを試してみるには自邸というのは良い機会です。

躊躇した理由は

・メンテナンスが大変そう
・耐用年数が低そう
・何かしら不具合が出たり上手く機能しないかもしれない
・わざわざコストを掛けるべきかが微妙

などで、そこまでしてやらなくてもいいかもという内容のものです。
とはいえ、視界に入る余計なものが一つでも減ると結構印象が変わるということもあり、「そこまでしてやる」意義があるかどうかを見極める実験として、今回の設計では

・引掛シーリングの吊り元を隠す
・コンセント類や換気扇を多少使いにくいが目につかない場所に設置
・銅管と埋込水栓で構成する手洗い
・外部照明を釣り糸でぶら下げる
・天井裏にエアコン設置簡易版

など採用しました。

順番に説明します。

引掛シーリングの吊り元については照明計画のときにも書きましたが、一般的な引っ掛けシーリングの吊元は

のようなカバーが付いていて、この部分もなんとかすっきりとさせたいという思いがありました。
器具を直結にするという手はあるのですが

のように、ある程度穴を隠すプレートのようなものは出てしまいます。
もう一歩なんとかしたいという思いがあり

のように部分的に天井を上げて吊り元を隠すという方法を試してみようと思いました。
この方法の難点は、施工手間がかかりそうということと、穴の直径が小さい方が目立たなくてよいのですが、小さいほど引っ掛けシーリングへの着脱が難しくなるという点です。
穴の径と深さはいろいろな管をいくつか取り寄せて検証したところ、私の手でぎりぎりなんとかなりそうなのが直径75mm、深さ150mmでした。
実際の施工では手間を考えると既製品の管を流用したく、ちょうどこの直径の塩ビ管があるのでそれを使い塗装する予定です。
現場ではすでに塩ビ管が施工されていて

こんな感じになってます。
遠目に見ると

こんな感じで、天井が低い場所だと75Φだとやや大きく見えますね。
仕上げてどうなるかというのはありますが、ここはもう少し無理して50Φくらいにした方が良かったかもしれません。

コンセント類を目につかない位置にというのはある程度は普段から取り入れてますが、いつもより少々極端なやりかたで…
立っていると見えない場所にセンサーを付けたり

死角になるサッシ枠にスイッチを付けたり

壁際に立たない限り見えない位置に換気扇をつけたり

といった場所に設定しています。
パッと見でスイッチ類の位置がわかりにくかったりセンサーの設定が大変だったりするものの、住んでいれば慣れますし、換気扇のメンテナンスが面倒(割と重要ですが)なこと以外にはそれほどデメリットはないと思います。
換気扇部分はすでに施工済みで

上の写真で一番奥の天井が折り上がった部分が

こんな感じになっています。
やはり天井に何もない方が気持ち良いので、掃除は頑張れそうな気がします。
余談ですが、この折り上げ部分はなんとなく間接照明を仕込みたくなるような雰囲気ですが、そぐわない高級感が出そうで入れてません。

銅管と埋込水栓での手洗器というのは

のようなイメージで、玄関に面した手洗いなので実用物感が少し和らぐことを期待しています。
この場合、一般的な水栓と違い水の出を調整するのは壁に埋め込んだバルブゲートとなり、今回はシャワー用の埋め込み水栓を使います。
想定される難点としてはバルブを回してから水が出るまで少々時間がかかるということ、季節によっては銅管が結露し、天井との接点でぐずつきやカビなどが出る可能性があることなど。
水の出方も一般的な水栓のように計算されていないので水の跳ね方などもどうなるかわかりません。
ちなみに、一般的に手洗い器の水栓は単水栓になっていることが多く、今回もそうなのですが、冬に水しか出ないのはしっかりと手を洗うという観点ではおすすめできません。
今回はここだけのために安い給湯器を1台用意して冬だけ電源を入れる予定です。
小型の即湯器という選択肢もあるのですが、置き場所の問題があるのと安い給湯器のほうが費用がかからないという理由で専用給湯器となりました。

外部照明を釣り糸でぶら下げるというのは

のように壁から出た棒状のLEDの先端を吊るのですが、これは光源が直接目に入らないように目線より上からの光源で軒裏を照らして反射で玄関ポーチを照らしたいというのが目的です。
また、日中、照明器具の存在感を消したい(消えるのか?)という思いもあります。
付け根の強度と風で煽られたときに棒状のLEDがどの程度振れるか、はたして壊れないのかというのがポイントになります。
また、軒裏の仕上げのアラがかなり出るので、少しテクスチャーのある仕上げのほうが安心感がありますが、今回は腕の良い塗装職人を信じて真っ平らでやってみます。

天井裏にエアコン設置簡易版については、最近1台のエアコンで全館冷暖房などされてる事例がありますが、あれは結構通風経路などの計画が大変で、かつ現場の管理も大変そうなので、もっと簡単にやって全館とは言わずとも2階の冷房だけでも6畳用1台で済んだらラッキーくらいの気軽な感じでやってみようと思います。
今のエアコンはWiFiで操作できるものがあるので天井裏にあっても操作上の問題はないですが問題は掃除です。
床下だと点検口を開けて下にあるので比較的楽ですが、冷房としては床下を冷やしても部屋の上部は冷えずかえって不快になるので今回設置するのは天井裏です。
子供部屋のロフトから屋根裏への点検口を設置して行けるようにしていますが、年に数回とはいえどのくらい面倒なのかは体験してみないとわかりません。
意外と楽で、それなりに効果があれば今後採用したいと思います。

おそらく言葉や図で説明されてもピンと来ないものでも完成物を見れば良い/悪いと判断ができることは多く、ショールーム的な意義も増すはずです。
この中で今後の物件で採用されるものが出てくるでしょうか…(柳本)