住宅設計者の自宅設計 10 コロナ禍で住まいは変わるのか


家で長い時間を過ごす生活が定着しつつあります。
当然ながら、今回の設計期間は昨年で、現在のような事態になることは全く想定しておらず、着工後ながらもこのままで良いんだろうかということを考えたりします。
とはいえ、おそらく薬ができてしまえば以前とさほど変わらない生活に戻るようにも思え、あまり現状に引っ張られない方が良い気もしますが、せっかくの機会でもあるので最近の生活様式に照らし合わせながら改めて計画を見直してみることにしました。

今回感じたことは
1.病人とそれ以外がある程度距離を起き、なるべく交差せずに過ごせるようにしたい。
2.家族全員が家に長い時間いても適度な距離感を保てるような居場所を作る。
3.外出が難しい時期にも屋外で気分転換ができるようにする。
4.最低限の備蓄物を収納するスペースがほしい。
5.リモートワーク中に他の家族がいてもお互いストレスにならないようにする。

では改めて平面を見てみましょう。

1については、病人は1階寝室に寝てもらい、それ以外は2階の子供室かリビングで寝るとしましょう。風呂トイレは寝室のすぐ近くなので必要最小限の交差で済みそうです。
換気計画が1階については寝室と階段下から吸気して浴室、トイレ、玄関収納で排気となるので、寝室に近い浴室とトイレには寝室から出てくるウィルスがある程度空気に乗って来る可能性があり、ロスナイなどの同時給排気タイプの換気を寝室に導入することは考えられます。
普段の戸建ての設計では温熱環境面から寝室のロスナイを基本仕様としていますが、今回は浴室やトイレは病人も使いますし、そもそも寝室に扉がないためあまり部屋ごとで換気という考え方が有効ではなさそうなのと、我が家の習慣上毎日窓を開けてしまうので熱のロスはそちらが大きく、見た目のデメリットの方が強いので採用は見送ります。

2については、元々家中全部居室を標榜していたので狭いながらも居場所には困らないはずです。

3については現在の賃貸マンションの奥行き80cmのベランダでもぎりぎり3人で食事やプール遊びができていますが、やはり無理矢理感は否めません。
ここは容積率を使い切らず、気軽に使いやすい広めのベランダや家の各所から見える植栽などの外部空間を優先したことがより活きてくることでしょう。

4については計画上ちょっと弱い部分です。
コンパクトな空間で快適に過ごすにはあまり物を持たないという意思が必要で、現時点でも物を減らせというプレッシャーと戦っているのですが、ご覧のように収納スペースはかなり少ない計画です。
そのため、備蓄もせいぜい2週間程度までしか想定していません。
2週間というのは関東で震災などが起きた時に東京を脱出して地元に戻れるまで持てばいいやくらいな感覚なのですが、今回のように日本全国での厄災となると1~2ヶ月分くらいを循環利用できる方が良いのかなと思いつつあります。
考えられるのはキッチンの上の小屋裏スペースを小屋裏収納にすることですが、出し入れが面倒なので日常的に使うかどうか微妙です。
まあ今回もたいした備蓄もなく乗り切ったからいいか、とひとまず保留にしましょう。
最悪、さらに物を減らせばなんとかなるでしょう。

5については、扉が殆ど無いのはどうかと思うのですが、今でこそ3歳児の所構わず発せられる雄叫びに悩まされることがあるものの間もなくそんなことも無くなるような気もします。
主なワークスペースとなる書斎は1階の玄関収納内なので、2階のリビングでテレビなど見ていてもそれほど気にはならないでしょう。
季節によっては外に出てしまうのもありです。
今はだいたいwifiやBluetoothで物事が解決しますし、外部コンセントは要所にあるので、なんとかなるような気がします。

と、後半「なんとかなる」で押し切ってしまいましたが、特に変更する必要はなさそうです。
やはり計画段階でしっかりと考えてあれば、このような災厄も乗り越えられる(もしくは多少の不便も納得できる)ということでしょう。

さて、現場は上棟後は順調に進み、断熱関係がだいたい終わりました。

外断熱なので断熱の監理は楽です。

下の写真はリビングの中心に立つ柱で、芯去りで背割れのない上小節のヒノキの柱を手斧ではつってナグリのような表情を付けてもらったものです。

最初にこの仕上げを見つけたときに相当な金額になるのかと恐れながら見積もりをとったのですが、思いのほかお手頃価格だったので導入できました。
なんとも表情のある仕上げで組み上がりが楽しみです。(柳本)