お盆休みにドイツのブラザー・クラウス・フィールド・チャペル(Bruder Klaus Feldkapelle)を訪問してきました。このチャペルはピーター・ズントーが無償で設計監理を請けた小さなチャペルです。このチャペルの建築方法は独特で、最初に杉の丸太をテント状に組み、その周囲に土を混ぜたコンクリートを月に2回、1年かけて24回に分けて打設。最期に中の杉の丸太を3週間かけて燻し、丸太を取り外して内部空間を造っています。屋根はなく、床は近所の鉛工場の助けで硬鉛を流し込んでおり、僅かな凹凸があるため雨が降ると水が貯まります。施工は施主とボランティアによってなされました。
今回の旅程はフランクフルトから入り、シェーンブルク城に一泊してブラザー・クラウス・フィールド・チャペル訪問。その後ケルンの大聖堂を見てデュッセルドルフからコペンハーゲンに入り、さらにベルリンに寄ってまたフランクフルトに戻るというなかなかのハードスケジュールでした。フランクフルトからケルンまではレンタカーでの移動で、上の地図はその行程です。
ドイツの道路を走るのは初めてだったので、地図上の道路名が標識に出てこなかったりすることに気付かなかったり、ipadのGPSが車内だと反応しないなど想定外の自体に苦しみましたが、順調に行けばケルンからは1時間程度、フランクフルトからも2時間ちょっとで着く(アウトバーンの真中車線が平均150km/hくらいなので)場所にあります。付近は非常にのどかな場所ですが、近づくとこのような標識も出てきます。
駐車場は広く、それらしい場所もここしか無いので見つけるのは簡単です。
駐車場には簡易トイレが有り、男女に分かれています。簡易トイレにしてはきれいでした。
一応このような案内板もあります。
駐車場からチャペルまでは約1.3kmの農道を歩きます。
農道に入ると、すぐにチャペルが見えます。写真だと奥の森に馴染んでますが、手前の木のすぐ左くらいにある茶色い四角いのがチャペルです。
付近はこのような風景で、富良野あたりを10倍位広くしたようなイメージです。
一部舗装された道もありますが、半分以上は砂利道なので歩きやすい靴で行ったほうが良いと思います。
入り口がわかるくらい近づきました。
ご対面。
入り口が南東向きなので、正午ちょっと前の訪問がお勧めです。
北側から。一部白華しているようです。
版築的な壁ティテール
入り口金物ディテール
ドアは重いです。行って初めて気付いたのですが、入り口の壁の角度は、正午に内部に三角形の光が落ちる角度になっています。絶対狙ってるはず。
正午を15分ほど過ぎた時間ですが、このような光の三角形が見れました。ひょっとすると春分、秋分の日だと光の太さも均一になるのかもしれません。
扉内側の金物ディテール。この後奥に進むと撮影禁止マークがあったので、中の写真は画像検索でどうぞ。この日は一部床に雨が貯まっていて上空からの光を映し静謐な雰囲気を強めていました。
扉の開き方
穴から見える内部のロウソク
説明(多分)
竣工年
オープン時間
帰り道
大学卒業時にアトリエズントーに履歴書を送ったほどなのに、恥ずかしながら実物を見るのは今回が初めてです。10年近く前に訪れた豊田美術館以来くらいの感動でした。写真にはあまり写ってませんが、常に礼拝者が訪れていて、建築物として見に来た人は自分以外に1組くらいだったようです。10年近く経っても美しく、地元の人にも愛され、良い使われて方をしているように見えました。建物や経緯についての詳細は、「淵上正幸 世界の建築は今 No.39」が参考になると思います。
また、今回ちょっとしたトラブルで時間がなく、休館日(火曜日)だったこともあり行かなかったのですが、ケルンには同じくズントー設計のコロンバ美術館があります。近くなので是非一緒に見てください。(柳本)