港区のマンションリノベーション工事ですが、現在壁床天井の下地が出来上がりつつあります。
このマンションは築40年以上経っているため、ぱっと見たところの内装仕上げや設備機器の老朽化はもとより、見えないところの躯体や配管等の老朽化もあります。さらに数十年前の技術や考え方として古いやり方をしているところも見受けられるので、この際可能なところは新築並みにやろうということになり、予算との兼ね合いもありますが出来うるところはやっていくことになっています。
上の写真は給湯給水管です。架橋ポリエチレン管という今までの銅管、塩ビ管と違い、軽く、柔らかくて、取り扱いが楽で接続もワンタッチ。耐熱性や耐衝撃性、耐食性があり、いいことずくめという感じで現在では主流になっています。(ただし価格はやや高い)
今回はさらに継ぎ手をなくし、ヘッダー工法というアイボリー色をした機器から全ての給排水設備に一本一本繋げています。そうすることにより、継ぎ手からの水漏れリスクを減らし、配管の交換も比較的容易になり、ヘッダー部分に点検口を設けるだけでメンテナンスがし易くなっています。
これは、排水管の様子(上が解体後、下がその配管を撤去し敷設後の写真)。まだ躯体に仮留め状態ですが、以前は給排水管が複雑に交差し全く勾配が取れていなく詰まりが多かったと聞いていましたので、しっかりと勾配を取ります。そして、防火区画の貫通には耐火二層管を使用し、リノベーションでも建築基準法を無視せず行います。(給湯給水管ではセキスイのフィブロックという商品を使用)写真ではまだガス管が鋼管ですが、これも今主流のステンレス製のフレキシブル管を使用します。
今度は、躯体の補修です。長年経ちますと鉄筋コンクリート自体にひび割れが出てきています。それとは別に当時の施工技術の問題でしょうか、ジャンカ、施工不良等による鉄筋のかぶり不足などがあり、さらには配管を通すためにコンクリートをはつったりしていて断面の欠損等見受けられます。それらは、構造的に補強することは難しいですが、コンクリート内部にある鉄筋の腐食を避けるために、モルタルにて被せたり、クラック補修材で鉄筋が空気や水に触れることを防ぎます。
次は外壁面の断熱です。このマンションはセントラルヒーティングが完備されており、比較的いつも乾燥し冬場は暖かかったと聞きます。ただし夏場が暑かったとも聞いていましたので、入っていなかった断熱材を張ります。解体後調査したときには躯体表面には湿った跡、カビなどはなかったのですが、部屋が狭くなるのを理解していただいた上でスタイロフォームを張りました。躯体の不陸が良くなく、この場所は木で下地材を設けていますので、このままじゃその部分にヒートブリッジが生じてしまいます。この後気密テープを貼り、上からスタイロフォームを張るか、補修タイプの発泡ウレタン材を吹き付けるかで対策をします。
このマンションはリビングの天井高が2650程度あり、開放感があったのですが、床も天井も直張りでした。しかし今回防音対策、配管ルート確保のため床は置床にし、天井は下地を入れ下げています。置床もLL40以上、LH50以上の性能のあるマットを使用し、さらに際根太にもクッション材を設け縁を切るなど対策も万全にしています。
他にも在来浴室の防水や、吸排気の方法も工夫していますので次回ご紹介いたします。(伊達)