前回までは伝統的な街並を紹介しましたが、今回は道中目に付いた現代建築を紹介します。
まずはUN studio(オランダ)設計のギャラリアというデパートの西館です。
うろこ状にガラス盤が設置され、裏にLEDが仕込まれています。イメージ検索するとわかりますが、全面がちょっとしたディスプレイになります。通った時間が微妙に早く動きのある電飾ではなかったのが残念でした。
続いてLeong Leong Architecture(米国)設計の3.1 Phillip limの旗艦店です。
外壁はコンクリートタイルだと思いますが、シンプルな反復にアッパーライトで陰影を付け印象的な外観となっていました。ちょとおいしそうです。
次は建築ではないですが風船を模した街灯です。
風で飛ばされた風船が木に引っかかってしまった様子をイメージしたのか、もしくは木の実が風船というイメージでしょうか。街灯のための電柱が不要というのはなかなか良いアイディアだと思います。常設ではないのかもしれません。
次はMass Studies(韓国)設計のann demeulemeesterの旗艦店です。
だいぶ暗くなってしまっていたのでリンク先を見ていただいた方がわかりやすいですが、RC造の建物の壁面に植栽を施してあります。パリのケ・ブランリ美術館ほどではありませんが、小規模商業ビルがひしめき合う地域に清々しいワンポイントとなっています。ただ、ブランドイメージとはあまり合っていないように思えます。
以上の建物は全て(今年大流行してしまった江南スタイルの)江南地区にあり、全て廻っても徒歩15分程度の圏内にあります。
最後に、崔文奎(チェムンギュ、최문규)氏(韓国)設計のサムジキルです。
お土産ストリートといった感じの仁寺洞通りにあるアートセンター的な建物で、2階から上が表参道ヒルズのように緩やかなスロープでらせん状につながっているという構造です。建物のそこかしこにペインティングやインスタレーションが施されており、なかなか楽しいスペースです。少し前ですがフランス大使館の取り壊し前に“NO MAN’S LAND”というイベントがあったのですが、その雰囲気に似ていました。ちなみに冒頭の写真もここのものです。
日本(というか東京)はバブル期とポストモダン全盛期が被るという悲喜劇のせいで良くも悪くもカオス状態になってしまいましたが、ソウルは東京よりは少しだけ落ち着いている印象でした。また、今回行けなかった所でマリオ・ボッタとジャン・ヌーベルがそれぞれ違う館を設計したサムスン美術館や東京の新国立競技場の意匠コンペで勝ったザハ・ハディド設計の東大門歴史文化公園など、ソウル市内だけでも結構建築的見所はありますので、食べ過ぎたときには散歩がてら訪れてみてはいかがでしょうか。(柳本)