前回に引き続き、ミラノデザインウィークに行ったときに訪れた場所の紹介です。
今回はミラノ南部にあるFondazione Prada Milan、いわゆるプラダ財団とよばれている美術館で、レム・コールハース率いるOMA設計の施設です。
場所はミラノ中心部を囲う環状道路から少し外れた場所で、メトロ3番線のLodi Tibb駅から徒歩10分少々で到着します。
この施設は築100年超の蒸留所を増改築したもので、外観的には以前のまま残した部分、以前の形態のまま外装を変えた部分、新築部分が混在しています。
エントランスとその両脇は以前のままで通りに馴染んでいますが、奥にシンボリックな金色が見えるので迷うことはないかと思います。
既存建物の通り側に設置されたモールス信号と思われるディスプレイはアート作品でしょうか。
ここから入って左に曲がり受付がある建物へと向かいます。
突き当りの壁の右がエントラスで、前には警備員的な人が立っていて、金色の壁に触ろうとする人に注意し続けています。
結構な数の人が触ろうとするので、なかなか大変な仕事です。
なんとなくここがメインエントランスっぽい雰囲気ですが、建物ごとにQRコードを出していたのでひょっとしたらどこから入ってもよいのかもしれません。
ちなみに、予約時間を1時間ほど過ぎてましたが問題なく入れてもらえました。
この金色の建物はhaunted houseと名付けられていますが、新築ではなく元からある建物の外壁に塗装しています。
竣工から10年ほど経っていますが、庇もないのにきれいな状態が保たれています。
メンテナンスが良いのか、気候のせいなのか、塗料が特殊なのかわかりませんが、この状態を保つのは結構凄いことです。
最初に見た場所はPodiumと呼ばれる建物で、アルミパネルの壁天井と床から天井までの窓が特徴的な空間になります。
このアルミパネルは元々トンネルなどのインフラ用につくられたパネルで、大量生産可能で軽量安価でありながら吸音などの効果があるというなかなか優れモノの製品です。
Podium側の映り込みもあって不思議な写真になってますが、中庭を挟んで建つのは外壁がやや波打った鏡張りの新築のcinema棟になります。
Podiumは2階まであります。
階段はクラシカルな大理石の段板にモダンでポップな色合いの手すりを合わせています。
2階に上がると以前からあるhaunted houseと新築のPodiumの取り合いが見えます。
屋根瓦がやや波打っているのを放置しているのはお国柄でしょうか。
アルミパネルに囲まれた通路部分は独特の光の反射が味わえます。
エレベーターでの昇降も可能です。
油圧式でゆっくりと動きますが、ガラス貼りなので視覚的に楽しみながら移動できます。(上の動画は倍速)
全体的にモダンで無機質な中に、時折このようなやわらかい要素が入ってきます。
この辺のバランスは好みです。
haunted house内は撮影禁止なのでご紹介できませんが、中央の階段室を展示室が取り囲むようなかたちで、5階くらいまであった気がします。
階段室は車椅子などの人用のエレベーターの周りを螺旋状に上っていくタイプで、以前からの形のままということもあって、おそらく日本の基準だと認可が降りないくらい狭かったです。
続いて、Torre(塔)という常設展示棟へと向かいます。
この動画のエレベーターは他のブログなどでは常用されているように紹介されていたのを見ましたが、この時は使えなく、なんで開いてたのかわからないとスタッフが言っていたので見れたのはラッキーだったかもしれません。
実際は普通のエレベーターで9階まで上がりました。
9階にあるカールステン・ホーラーのキノコの部屋です。
ここにたどり着くまで真っ暗な通路を手すりを頼りに歩いてくるので、突然出くわすこの光景には結構異世界感がありました。
この他にも最上階は他にも何人かの展示がありますが、内装としてはシンプルで特筆すべきものは無い感じでした。
最上階から下りていくと、ダミアン・ハーストや
ウォルター・デ・マリアなど、ほかにもいろいろフロアごとにいろいろ楽しめます。
6階がトイレフロアになっています。
男女関係なくランプで入室状況がわかります。
ドアを開けると手洗いだけの空間があり、奥の黄色いルーバーがトイレのドアになってます。
写真だと手掛の位置が比較的簡単にわかるのですが、実際に入ると外の雰囲気から急変するので面食らって軽くパニックになり、一瞬「トイレじゃなかったのか」と思ってしまいました。
さらに中に入ると超シックで、さっきの黄色がしばらく網膜から離れませんでした。
トイレ側からのドアノブまわりはかなり塗装が剥げていてちょっと残念な感じでした。
外壁のメンテナンス状態との差が激しいです。
続いてはNord(北)棟で、こちらは既存建物になります。
この床タイルも既存のもののようですが、現在もあれば使いたくなるような良い雰囲気です。
続いてカフェテリアですが、こちらは映画監督のウェス・アンダーソン監修とのことで、彼の映画はすべて見ている程度に好きなので楽しみにしていましたが、あの計算し尽くされた人物配置がないとイマイチ雰囲気が出ないということがわかりました。
ここよりはガレリア内のプラダの上にあるカフェの方が雰囲気は良いと思います。
ショップ周りは一人もお客さんがいないということもありとても殺風景な感じでしたが、売られているものはなかなかハイセンスでした。
ショップの奥には全体模型があります。
結構細かく作られていて、窓を覗くのも楽しいです。
車椅子マークが着いているのでおそらく多目的トイレかと思いますが、ドア幅は狭く開けにくそうです。
スタッフが開ける前提でしょうか。
この辺でタイムアップとなり、まだ見ていない場所があるものの次の予定に向かわなければなりませんでした。
ミラノ中心部にあるObservatoryというギャラリーも同じチケットで見れるはずですが、そちらを廻る時間もなく消化不良気味ながら15ユーロ分以上は楽しめました。
また機会があれば全体を見てみたいものです。(柳本)