上海レポートも今回で最後となります。
今回来てみて強く感じたのは思っていたよりかなり静かで整然とした街だったということです。
現地で聞いたのですが、昨年から条例で特定区域でクラクションが禁止されたことで根本的な騒々しさがなくなったためか市民も静かになってきているようです。
やはり静かさというのは心に平穏をもたらすと思いますし、ひょっとすると街全体の清潔さにもつながってきているのではないでしょうか。
Bund Finance Centerからしばらく川沿いを散策しましたが本当にゴミひとつ落ちていないきれいな遊歩道が延々と続いていました。
そのまま南下するとShanghai New Theatreを設計した”Neri & Hu”による”The Waterhouse at South Bund”というホテルに着きました。
これも古い建物をリノベーションしたホテルで、内部の見学はできませんでしたが古さと新しさをうまくミックスした例です。
もう一つ、残念ながら中が見れなかったのがプラダ財団による”Rong Zhai“です。
こちらは古い豪邸をリノベーションというよりはレストアした建物で、展示会等がある時のみ一般公開されるようです。
オフィシャルサイトでは中の写真が見れますが、色使いなどが参考になりそうです。
また、今ほどリノベーションという概念が浸透していなかった頃から存在するリノベーション商店街とも言える田子坊にも行ってきました。
今となっては観光地ですが、元々はニューヨークのソーホーのようにアトリエを構えるアーティストが増え、自然発生的に飲食店なども増えていった路地です。
飲食、買い物、ギャラリーなどが混在していて、路地が入り組んでいるため「こんなところにこんな店が」という発見も楽しめます。
外壁のちょっとしたペイントなどからも参考になるものが見つかるかもしれません。
東京だとどうしても地震、火事の問題があり古い建物を活かした地区というのが残りにくいのが残念です。
最近日本でも話題になりつつあるレンタル自転車も試してみました。
モバイクが札幌で導入されたため、日本でも簡単にアカウントを開設でき、上海でもそのまま使えます。
デポジットも日本アカウントだと500円と安く、チャージも500円からなので気軽に試せると思います。
ちなみに30分あたりRMB1なので、500円だと15時間近く乗れます。
自転車は上の写真のような感じでそこら中に放置されていて、アプリの地図で簡単に見つけられます。
自転車自体は結構汚いものも多いのですが、探せばきれいなものもあります。
今回は車体のきれいさで選んだのですがタイヤが歪んでいてやや乗りにくさはありました。
とはいえ、長距離を乗るわけでなければさほど問題もなく、ちょっと駅まで遠いなという時などとても便利なシステムだと思います。
通行は基本的に自転車用レーンを走るようですが、見てる限り歩道を走っても特におとがめは無さそうです。
交通標識にはちょっと意味がわからないものもありますが、なんとなく周りに合わせてれば問題ないと思います。
公共交通機関としては基本地下鉄が初乗りRMB3と安く便利です。
自動券売機はタッチパネル式で、英語表記に変えることはできますが日本語はないです。
基本的な操作は何線に乗るかを決めて駅を決めるという手順ですが、中国語のままでもなんとなくわかると思います。
改札前に荷物チェックのゲートがありますが、検査員の気分次第なのか同じ荷物でも見られることと見られないことがあります。
地下鉄内は概ね清潔で、時刻表があるのか気にしてなかったですが毎回すぐ電車が来たので本数は多いのだと思います。
最後は空港までリニアモーターカーに乗ってみました。
最高速度は431kmとのことですが、日中の限られた時間のみその速度が出るようで今回は300km止まりでした。
それでも龍陽路駅から空港まで30kmの距離(東京から新横浜くらい)をわずか7~8分で運行しているので、あっという間に着きますし自由席はRMB50と格安です。
日本の新幹線より道路などが近い感じがして、外を見ていると景色が次々と変わり楽しいです。
余談ですが、リニアモーターカーというのは和製英語なので日本以外では通じず、上海ではマグレヴ(Maglev = 磁気浮上)で通じます。
上海の街自体はきれいでしたが、やはり空気は汚く、訪れた日は冬にしてはかなり状態が良い日とのことでしたがPM2.5濃度は90μg/m3と日本の注意喚起濃度70を軽く超えていました。
上空は特に酷いく、飛行機からは全体的に黄色く見え、ある層では翼の先が見えないくらいでした。
とはいえ、短期間ということもありマスクもせずに過ごしていましたが健康上の問題は何もなかったです。
こちらは東京上空ですが、だいぶマシな感じがします。
なかなか観光で行くこともなさそうな上海ですが、日本から最も近い中国の大都市で気軽に週末旅行で訪れることが出来ます。
さほどディープさは無いかわりに安全で割と清潔で人も全体的に感じが良く食べ物も安くて美味しいので、なんとなく中国を体験してみたいという時には良い候補ではないでしょうか。(柳本)