2月の連休を利用して1泊2日で上海の建築物を見に行ってきました。
見たい建物はいろいろあったのですが、よほど有名でない限り場所を探すのがなかなか難しく、中国語でそれっぽい情報を当てにしながらとりあえず行ってみるという手法でなんとか5箇所回ることができました。(中に入れたのは2箇所だけしたが)
最初に向かったのは4年間という長い期間を経て完成した古い劇場のリノベーションプロジェクトです。
設計はNeri & Huという上海とロンドンをベースに活動するデザインユニットで、アルテミデやmoooi、ドリアデなどのプロダクトデザインも手がけています。
このようなモダンな意匠にトラディッショナルな毛筆系のタイポグラフィのサインを組み合わせるのは中国のデザイナーは上手いと思いますが、日本でも取り入れやすい手法のように思えます。
全体がグレーの石と真鍮をベースにした意匠で統一されていて、非常に今っぽい感じです。
天井を低く抑えたエントランス前は完全に開かれていながら、通りの喧騒と明確に区切られた空間と感じられます。
ただ天井が低いだけだと圧迫感が出ることもありますが、トップライトが適度な抜け感を演出しています。
真鍮部の造形は中国なのでどうしても竹をイメージしてしまいます。竹林に雲が立ち込めたようなイメージと思えなくもないです。
真鍮の壁と床の取り合い部です。
照明は全体的に入隅を間接照明で照らすように計画されているようです。
ここに入った雨水が排水されるようになっているのかは不明で、ゴミなども取り除くのは難しそうですが、失礼ながら意外ときれいな状態でした。
トップライト部は逆光状態で肉眼ではよくわからなかったのですが、写真で確認するとかなり黄色くなっていました。
天井は床と同じと思われる石で仕上げてあります。
日本だと落下時の危険性から大きな面積で天井に石を貼るのはあまり見たことがありませんが、地震が殆ど無い上海だと問題がないのかもしれません。
しかも、コーキングを使わない眠り目地なので凍害でもタイルが割れたり落ちたりの可能性もあるように思えますが、今のところ無事なようです。
外壁は仕上げが様々で表情に変化をつけています。夜景の写真だと壁の上部にある間接照明からランダムな影を落としていて良い感じです。
日曜日だったので何かしらやっていて中に入れるかと期待してましたが、残念ながら夜になっても開く様子はなく、照明もつきませんでした。
以前の様子や夜景は
http://www.culture.sh.cn/searchVenueDetail.action?venueCode=SCV000040
https://www.designboom.com/architecture/neri-hu-new-shanghai-theatre-china-stone-brass-01-20-2017/
で見ることができます。
ちなみに、中国名は”上海大戏院”ですが、これをGoogleマップで調べても違う場所(上海大劇院)が表示されます。
百度マップだと2箇所出てきます。
正式な場所は
https://goo.gl/maps/5aUmJLDSdg22
です。
どうやら、Googleマップの中国情報は古いようで、以前の上海电影院となっています。
余談ですが地下鉄の13号線の存在も現地に行ってから知りました。
必ず百度を見るようにしましょう。(柳本)