以前結露と蓄熱性の関係について書いた際に吸放湿性について触れました。吸放湿性は調湿性とも言われますが、湿度が高い時に水分を貯めこみ乾燥しているときに貯めこんだ水分を放出する性能のことです。除湿剤と加湿器が一緒になったようなものですので、調湿性の高い素材を多く使うことで室内の湿度を適切に保ちやすくなります。夏はジメジメ感が減るため不快指数が減り冷房のかけすぎ防止になりますし、冬は乾燥しにくくなり、これが実は放射冷却を抑えることにもなるため冷えにくくなります。体調を崩しにくくなり肌も乾燥しにくくなり結果として薬や化粧品にかかるコストも減るかもしれません。やたらと加湿器を使って部分的に結露を起こしてカビが生えてゼンソクになるという可能性も減るでしょう。
ところで調湿性の高い素材とはどのようなものがあるかといいますと、一番身近なのは無垢の木材です。
素材としても使いやすいですし、家具等で室内に取り入れることも簡単なのでおすすめの素材です。ただし、ウレタン塗装など被膜を作る塗装をしているとその性能はほぼゼロになってしまいますのでご注意ください。
次によくつかわれるのは左官材でしょうか。
珪藻土が特に調湿性の高い左官材として有名ですが、ほかの材料でもビニールクロス等に比べると調湿性は高いです。
こういった素材の難点は建設時には手間がかかるため工事費が上がり完成後は場所によってはメンテナンスの手間がかかるということです。とはいえ、そこから受ける恩恵(雰囲気の良さや薬や化粧品の削減も含め)を考えるとトータルコストとしてはお得なのではないでしょうか。賃貸で部屋をいじれない場合でも家具や食器(釉薬の塗っていない陶器)等で多少の改善は可能です。(柳本)