画像はクリックで拡大します
<概要>
場所:東京都杉並区
面積:133平米
建物:在来木造戸建て(リノベーション・地上2階)
ご両親が住まわれていた築39年の木造戸建て住宅をリノベーションして住み継ぐ計画です。
主なご要望として
・亡くなったお父様の面影を残すために和室の位置と大きさを以前のままにすること
・奥様が料理教室を開催されているためにキッチンとダイニングスペースを対応させること
・教室中に和室を託児所として機能させること
・教室中でもくつろげるスペースを2階に確保すること
などがありました。
そこで、1階の居室は和室とダイニングキッチンに絞り、2階は居間として使える多目的スペースとそれを囲むように各個室を配置しました。
今回は耐震改修も兼ねることもありフルスケルトンリノベーションとなったので、床下の土間に蓄熱暖房を設置し断熱は新基準の等級4をクリア、配管関係も全て刷新しています。外装も壁やサッシは全て新しくして、屋根は元の瓦を再利用しながらも防水層を一新するなど、新築とほぼ変わりない状態にまで生まれ変わりました。
多目的スペースとなる以前は平天井でしたが勾配天井とすることで空間に広がりを持たせ、高窓からの光も取り入れ奥の階段まで明るさを確保しています。
ロフトを設け、そこに至る壁にボルダリングホルダーを設置してハシゴを使わなくても登れる仕様です。
ハンモック等を吊るせるフックを天井に設けて様々な遊びに対応できるようになっています。
ロフトからは見下ろす風景もなかなか爽快です。
多目的スペースの勾配天井は間接照明で反射して全体に優しい光を与えます。
唯一以前のままの材料が見えるのが多目的スペースに向かう廊下にかかった梁です。
年月を経た梁はアンティーク家具のような雰囲気で左官の壁と絶妙にマッチしています。
ここからは2枚の写真はお子様が楽しく過ごせそうな空間になります。
ロフトスペースは天井はかなり低いですが、小さいうちは十分に遊べるスペースで明るさもあります。
書斎の奥にある玄関上の空間を利用した収納スペースは入口は狭いですが入ると3帖ほどの広さがあり、大人二人がゆったり寝れるくらいです。
キッチンは以前と同じ場所ですが、元々とても暗かったので明るくすることが課題でした。
そこで、内装全体を白を基調とし、アイキャッチとしてキッチンのベース部分にブルーグレーを採用し程よい存在感を与えています。
白と言っても無垢フローリング、タイル、左官などの自然素材を使っているので寒々しい感じにはならず、気持ちの良い空間となっています。
キッチンと和室の間の丸柱は構造上無理な力をかけたくなかったために残したものですが、お子様にとってはぐるぐる周る格好の遊び場になっているようです。
ダイニングスペースは以前は和室の続き間だった部屋です。
押入と縁側を無くすことで広々とした空間となり、奥のキッチンまで光を届けることもできました。
押し入れ分にあった柱を抜いたことで梁を補強する必要がありましたが、こうしたダイナミックな変更がしやすいのも木造リノベーションの魅力です。
キッチンからは託児所となる和室を見渡せるよう和室の角は建具で大きく開くようにしています。ダイニング側の3枚建具は外して飾り棚の下に収納できるので、大きな続き間としての利用も可能です。
キッチンはステージとなる作業台にコンロを設け、洗い物は後ろのL型部で行います。
お父様の面影を残すために位置を大きさをキープした和室です。
当初は床板や床柱を以前のまま再利用することも検討しましたが、内法高さの変更と想定以上のダメージがあったため刷新しています。
床の間には仏壇置場として吊り収納を設け、壁は左官、天井には葦ベニヤを採用しました。
玄関は元々窓がありましたが、廊下側が暗かったためにコントラストが強く暗さを強調していました。
ダイニングや和室からの光も取り入れつつ玄関側の窓を小さめに分散し、内装の色を明るくすることで均質で優しい雰囲気の玄関となりました。
天井までの下駄箱と突き当りのクローゼットで必要な物はおおよそ収納できる計画です。
玄関ドアはコンシールドタイプのドアクローザーを採用し、すっきりとした見栄えです。色は外装側に合わせています。
外部は既存の瓦を一度おろして防水下地をやりかえて再度瓦を葺いています。
外壁はシンプルなサイディングにして、塀やアプローチも全体的に刷新しました。