アドベンチャーバレー龍ケ崎(龍ケ崎市森林公園)


〈概要〉
場所:茨城県龍ケ崎市泉町1966
管理棟:木造(新築)
炊事棟2棟:木造(新築)
URL:アドベンチャーバレー龍ケ崎 公式HP
Photo:建築写真STEP-image (一部エキップ)

茨城県龍ケ崎市にある森林公園のリニューアルに伴い、公園内に管理棟と炊事棟2棟を新築しました。


以前の管理棟


以前のトイレ


以前の炊事場

龍ケ崎市森林公園は開園以来、自然豊かな地域の憩いの場として愛されてきましたが、公園の老朽化が進んだことからPark-PFI制度を利用し民間事業者と市が共同で公園を再生することとなり、その設計に携わりました。

管理棟は新たに併設されるキャンプ場やアドベンチャー施設の受付や売店、公衆トイレなどを備えており、自然の中でのびのびと過ごせるような、開かれた建物を目指しました。周辺環境を活かしながら、以前の管理棟とほぼ同じ位置に配置することで、慣れ親しんだ公園を以前の印象のまま利用してもらえるように計画しています。

屋根はテントをイメージし、水まわりスペースの低い屋根と、人が集うホールの高い屋根を組み合わせた形としています。母屋や垂木は形状を揃え、軒先を受ける柱が極力目立たないように工夫することで、内外からの景観を遮らないように意図しています。また同時に、建物全体の高さを低く抑え、軒の高さも低く抑えることで、訪れる人々に開放感と安らぎを感じてもらえるように設計しました。

 

建物は、駐車場と芝生広場の両方からのアプローチを考慮しながら、広場の緑や春に咲く桜を眺めるためのスペースとして軒の出が深いL字型のテラスを設けています。日差しをよけながら、ゆっくりと過ごしたり、人々が交流できるような場所となるように計画しています。

水まわりの出入り口はあまり目立たせず、駐車場からの視線を遮れるように壁を設けています。その壁に「龍」をイメージした素材を使用し、建物のシンボルとなるように当施設のサインを設置することで、地域らしさを感じられ、訪れる人の印象に残る建物となるようにデザインしました。

建物西側の軒は、垂木による片持ちの構造とし軒先にかけてテーパーをかけることでスタイリッシュに見えるように工夫しています。

一方で、東側は軒が深いため軒桁が必要となりましたが、細身の円柱鋼管材で軒先を支持。垂木との留め付けを隠すことで、構造体が目立たずすっきりとした印象の納まりを実現しました。

 

また、外観・内観ともに地元の木材を多く使用し、自然豊かな公園の風景と調和するように計画しています。木のぬくもりが感じられ、ほっと落ち着ける優しい空間をつくり出しています。

トイレ内部も同様、木を基調とした仕上げとしています。

穏やかな光と質感が調和し、日が落ちても心安らぐ場所を演出する管理棟となっています。

 

広大な公園内に点在するキャンプサイトに対応するため、管理棟のほかに新たに2棟の炊事棟を新築しました。これらの炊事棟は、木々の間に建てるため、明るい印象の外観で昼間に照明を使わなくてすむよう自然光を効果的に取り入れる形状・素材としています。

& Green CAMP SITEでも採用したポリカーボネートを壁と屋根に採用し、太陽光を取り入れるだけでなく、夜間には内部照明のやわらかな灯りが行灯のように照らし、周囲から目印となるように意図しています。

トイレ内部には管理棟と同様にラワン材を使用し、自然に馴染む仕上げとしています。こちらの炊事棟は屋根をガルバリウム鋼板としているため、ハイサイドライトから光を取り入れる設計としています。

屋根は、垂木とポリカーボネートの受け桟を格子状に組むことで、内外どちらから見ても美しく印象的な屋根面を形成しています。

また、各所トイレに設置したピクトグラムもオリジナルでデザインし、カラーアクリル板をレザーカッターで加工し製作しております。