森林公園管理棟プロジェクト

こんにちは、宮澤です。

現在茨城県のとある森林公園のプロジェクトを担当しているのですが、ようやくある程度の図面が完成し一段落付いたのでそれについて書こうと思います。

今回設計したのは公園内に建つ管理棟で、矩形の建物とそれを取り巻くように広めのウッドデッキが広がるようなシンプルな構成としています。そのため屋根のかけ方により建物の印象が大きく左右されるということで、屋根の形状や構造形式の検討に力を入れました。

 

まず、初期の段階では正面から力強い大屋根の面が見える寄棟の屋根として、ウッドデッキの上部の軒先ラインがビシッと揃う案を検討していました。しかし、

・内部から見る隅木(寄棟の隅から屋根なりに入れる構造部材)のラインが綺麗に納まらない

・間取りと柱の位置の関係から寄棟の頂点がどうしても偏心してしまう

という2つの問題点がありました。

 

そこで、形状を差し掛け屋根に方向転換することで解決することになりました。段違いの屋根の部分にハイサイドの窓が設けられるのもこの案の一つの魅力です。

その際に作成した軸組み模型になります。差し掛け屋根にすると垂木が一定の方向に揃うのが綺麗ですね。最近では3Dモデリングばかりを使うことが多いですが、模型だと建物のボリューム感などがイメージしやすく模型には模型の良さがあることを実感します。また、実物があるので数人でここはどうあれはどうなど意見するときにも便利なツールだと思います。

 

次に問題となったのがウッドデッキに張り出した梁をどう支えるかについて。

開放的なウッドデッキなのでなるべく柱を落としたくはないが、片持ちにすると梁せいが大きくなってしまい見栄え的にも悪い。相反することをどこで折り合いをつけるか難しいですね。ですが「制約は創造の母」という言葉があるように、こういった条件があるからこそクリエイティブなものが生まれてくるものだと思います。

そこで今回は部分的に鋼管柱を採用し、極力細い柱で梁を支えることとなりました。また、正面側の鋼管は斜めに配置することで正面の出入り口付近を開放的にするのと同時にリズミカルで特徴的なファサードを作っています。

先日作成したイメージパース

今回はどのように建物の形を決めていくのかを中心に書いてみましたが、うまくいかないところを試行錯誤して形を作り上げていく過程がとても興味深いです。入社してからの半年でようやく形になってきたプロジェクトですので、管理棟の工事はまだ始まっていませんが完成が楽しみです!

(実はこの建物とは別にトイレを2棟同じ公園内に設計しておりこちらは最近工事が始まりました。)

 

宮澤