住宅設計者の自宅設計 16 暮らしレポート 夏

金魚

前回のレポートから5ヶ月が経ちましたが、梅雨時から夏の終りまでの様子をお伝えします。

今年は雨が多い印象でしたが、特に梅雨時期は気温が低くてもそれなりの湿度となり、エアコンはスポット的に6月から使うようになりました。

奥庭

光の変化で大きかったのは、奥庭に直射光が入るようになったことで、寝室からの景色も朝から眩しさを感じるようになりました。

朝日

朝日が南面の壁にも当たるようになり、6月の後半には早朝から多少の暑さを感じるようになりました。

夕刻のベランダ

夕方も同様にベランダの南面の壁にも陽が当たるようになりました。

このように南の壁に陽が当たるのはおよそ1ヶ月程度の貴重な期間です。

ベランダプール

8月下旬くらいまでは南向きの外壁には直射光が当たらないように庇を設定しているため、この時期に直射光が入るのは朝夕のみになります。

ベランダはほぼ直射でかなりデッキが熱くなるので、100円ショップで購入した日除けをかけてプール遊びなどしてましたが、この日除けは思った以上に効果がありました。

リビング

夏の間は天窓のブラインドはほとんど閉めっぱなしでしたが、室内が暗いという感じはなく涼しげな印象になります。

このブラインドは遮熱効果が高く、閉めていると天窓の下にいてもほとんど暑さを感じません。

西窓

午後は西窓のブラインドも閉めて障子のように木陰を楽しむ日々となりました。

断熱(主に屋根)の効き具合も調べてみました。

屋根温度

7月21日(最高気温33.6度)の15時で、南向き屋根表面の温度は60度程度でした。

南断熱

屋根の構成は仕上げ、ルーフィング、下地合板の下に通気層を取って垂木間に100mmのウレタンフォーム(熱伝導率0.21W/mk)、その下に垂木も覆う形で30mmのスタイロフォームB2(熱伝導率0.34W/mk)という半外断熱仕様です。

南面のスタイロフォームの表面温度は38度ということで22度程度の断熱効果となっています。

北断熱

北面のスタイロフォームは30度を切っていますが、北面の屋根の温度を測れなかったのでどの程度の差になっているかはわかりません。

記録の残せる温度計を設置して調べたところ、この夏の小屋裏(部屋ではない)の気温は最高で34.1度となり、さすがにエアコン無しでは過ごせない暑さにはなっていました。

2階の温度は、不在のためエアコンをかけていない日の日中の最高温度が30.8度で、室内面温度が暑い日の午後の西壁面や天井温度が30度程度だったので体感温度(室内の各面温度の平均と気温を足して2で割ったもの)も気温以上にはならず、風があればなんとかなるくらいですが、実際は在宅時日中はエアコンをかけっぱなしでした。

1階は床が土間とタイルでひんやりしていたこともあり、最高でも28.9度で寝室側はそれほどエアコンの必要性を感じませんでしたが、職場となっている玄関側は午後の日射とコンピューターの熱もありやはりエアコンをかけないと快適に仕事ができるという状態にはなりませんでした。

結果的に家全体で稼働していたエアコンは1階と2階の各1台の計2台で家中が快適に過ごせる状態でした。

この建物のUA値が0.54、ηACが2.7(HEAT20のG1程度)で、H25省エネ基準よりはだいぶ良いのですが、設計時からの2年でなんとなくこのくらいは一般レベルという感じになりつつあり、予算の問題はあったものの、あと100万円くらい将来の自分に頑張ってもらってもう少し断熱を強化してエアコン1台でまかなえる状態を目指しても良かったかもと思いますが、緊急事態宣言でなにかとこもりがちだった夏をなんとか快適に過ごせる程度にはなっていました。

LOW-E遮熱部

直射部

9月後半になり南の直射日光が窓から入るようになってきて、この時期でも直射日光は多少暑さを感じるので、LOW-Eガラス(日射取得型)の遮熱具合も調べてみました。

ガラス越しの日射部が33.6度、直射部が37.8度でした。

西面以外は冬場を優先しているので南面も日射取得型になってますが、それでもこれだけ差が出るのであれば直射日光がある時間帯は窓を閉めている方が涼しいということになります。

来客

それではまた。(柳本)