住宅設計者の自宅設計 13 水周りの器具


今回は水周りの器具をどのような理由で何を選んだかと実際に使ってみてのレポートです。
全体を通して、基本的には掃除が楽かどうかというのが大きく、見た目の魅力が面倒臭さを上回ったときだけメンテナンス性を犠牲にするという方針で決めました。

それではキッチンから。

キッチンは夫婦揃ってそれほど大きなこだわりがなく、天板がステンレスのバイブレーション仕上げで木の扉の引き出しくらいなイメージでした。
最初は造作も考えましたが、半個室でもあり上の写真のように日常生活では天板以外はあまり目につかないので、費用を抑えるため既製品にしました。
メーカーは「天板がステンレスのバイブレーション仕上げで木の扉」の組み合わせが可能な上で、にシンクがシンプルに四角く段差が少ないこと(掃除が楽)、あまり細かい機能が無いこと(憶えらる気にならない)、高すぎないことが決め手となりウッドワンになりました。

調理器具は当初これまでに使ったことのないIHを試してみようという話になっていたのですが、やはり火への思いが捨てきれず結局ガスになりました。
ここ25年ほどグリルのないコンロを使っていたのですが、今のグリルは25年前とは大違いで魚の匂いもカットされ、掃除も楽ということでグリル付きに。
実際使ってみて、サバなどを焼いてもほとんど匂いが出ないことに感動しました。

食洗機はこれまで卓上タイプを使っていたのですが、サイズ的に鍋などを入れるのに苦労していたため何も考えずに入れられるサイズが欲しいと思っていました。
そこでミーレの45cmタイプで検討していたのですが、たまたま120周年モデルがかなりお得価格で発売されたこともあり60cmになりました。
キッチン幅を変えなかったので、収納が15cm減ることにはやや躊躇しましたが、使ってみると朝晩まとめて入れるのにちょうど良いサイズでした。
廉価モデルなので乾燥機能も無い上に終了後に扉が自動で開かないのがどうかやや心配でしたが、夜寝る前にスタートして翌朝にはあらかた乾いていて思いのほか

水栓は吐水口付近のボタンで吐水を操作できるタイプにしました。
細かく止めるのに便利ではありますが、ボタンを押して止まるまでのタイムラグがあり用途によっては使いにくい面もありました。
また、ウッドワンのオプションにはなかったのですが、メーカー自体にはシャワーになるタイプがあり、やはりシャワーがあったほうが良かったなと思います。
ここについては割と早めに交換になるかもしれません。

レンジフードはフード上面にホコリが溜まるのが嫌だったのですが、最近普通サイズの直方体タイプが出たのでそれにしました。
同じような形でアリアフィーナと富士工業のものがありましたが、天井高さから入る寸法が限られ、富士工業となりました。(安いというのもあり)
通常の形よりフード上の部分にボリュームがあるので圧迫感が出る可能性もありましたが、場所がやや奥まっていることと吊戸棚が無いためかそれほど圧迫感も違和感もありませんでした。
性能的にはなんの特徴もないシロッコファンなので使い勝手は極めて普通ですが、やはり掃除する箇所が少ないというのはありがたいです。

扉の面材はフラットタイプが良かったのですが、面材がパインしか選べないので床との色合いが微妙なことと大量生産メーカーの難点として扉同士の木目合わせができないというのが気になり、多少ホコリ溜まりが気になることに目を瞑ってオークの框タイプにしました。
ちょっとカントリー調になるかもと不安もありましたが、結局の所それほど目につくこともなく気にはなりませんでした。
金物は、ウッドワンは引手の種類がかなり多く良いものもあるのですが、家全体の掴む金物をフォルマーニのFERROVIAシリーズに統一することにしていたので別途手配としました。

次は浴室と洗面関係です。

ユニットバスはパネルの継ぎ目やドアまわりがホコリが溜まったりカビやすかったりで実は掃除が割と面倒だったりします。
在来型の浴室もタイル目地がカビやすい印象を持たれがちですが、最近の目地材はだいぶカビにくくなってきていて、さらにタイル用の撥水剤も進化していることもあり、思い切って在来としました。
大きめのタイルで仕上げ目地自体を少なくし、ドア無しのシャワーカーテン仕様にすることで湿気がたまること、ドア周りの掃除の面倒さを回避しました。
この仕様の場合、浴室内が密閉されず暖まりにくいので浴室や脱衣室が暖房される仕様じゃなければ冬は少々厳しいと思われます。
また、追い焚きも効率が悪くなるので家族が多い場合も向かないかもしれません。
今回は基礎蓄熱のおかげで概ね快適ですが、最低気温がマイナスになるような日は脱衣室側のドアを閉めなければやや寒さを感じました。
また、湿気が浴室以外に逃げていくので少なくとも脱衣室までは調質性のある仕上げ材にしてあるほうが良いかと思います。
逆に言うと、冬場は他の部屋まで適度に加湿できるので良い面もあります。
今回は1階の壁天井仕上げが左官と桐板ということもあり、うまい具合に調湿してくれているようで今の所家全体で加湿器が不要です。
反面、夏は除湿必須になりそうです。

在来の場合、浴槽は固定するか置くだけかの選択となります。
固定の場合は設置後の安定感があったり、浴室床より低めに埋め込むことで入りやすいなどの利点がある一方で、一般的な間接排水だと床下に掃除が困難な防水槽が必要で掃除できない空間があることが辛い人には精神衛生上良くない面があり、直接排水だと排水速度が遅くなったり浴槽を変える時に逃げが効かないという不安があり、さらに浴槽の周囲にシーリングすることになりますが、ここも結構カビやすかったりするというデメリットがあります。
置くだけのタイプは水が入っていない状態だと比較的軽いので安定性が悪く、浴槽の底が床より高くなるので入るのもやや大変で、お湯も冷めやすいというデメリットがあります。
一方で軽さを活かして少し動かせば裏面や床の掃除ができ、浴槽の交換も工事不要、浴室の床に直接お湯を排水するので見えない部分が汚れているという不安がありません。
それでも殆どの場合は固定方式が選ばれるのですが、個人的には置くだけの方が性に合っていました。
浴槽は長さ1350mmが限度だったのでなるべく近いサイズで探すと、ある一定の信頼が置けるメーカーの範疇ではサンワカンパニーとフォンテトレーディングのものが見つかりました。
サンワカンパニーはホーロー製なので質感が魅力ではありましたが長辺が1200mmで、フォンテトレーディングはFRP製で1300mm。
見積もりを取るとフォンテトレーディングの方が少し安く、このサイズだと少しでも大きい方が良いのでそちらにしました。
形状は楕円と長方形がありましたが、楕円のほうが湯量が少なく、かつ周囲の掃除がしやすいので楕円にしました。
実際に入ってみると背中の納まりもよく、入隅がないため掃除もしやすくて良かったです。

シャワーについてはどうしてもレインシャワーが欲しく、これまたフォンテトレーディングのシャワーセットが値段の割に見た目やハンドルの動きなども悪くないのでそちらのセットにしました。
これも使ってみると特に不便はなくて良かったですが、通常シャワーの水の出方がややゆるいのが少々物足りないのと、もう少しレインシャワーの横幅があると完全に全身が包まれるようになって良かったかもと思います。

洗面器は当初2ボウルで検討してましたが、カウンター幅が1600mmくらいで少し窮屈になりそうだったので1ボウルで大きめのものにしました。
CATALANOのNEW ZEROというシリーズの幅広のタイプで、全体の幅は1250mmですがシンク部分は690mmで両サイドに物が置ける形状です。
二人並んで歯磨きするくらいなら問題ありません。
濡れたものをカウンターに直接置かずに済むのも気楽で良かったです。

最後に玄関前の手洗いです。

ここはちょっと自分以外の家で試すのに躊躇していたことを実施。
手洗い器は浴槽を見にフォンテトレーディングに行った際にライムストーン削り出しの丸いボウルがあり、一目惚れで決めました。
石なので、これもそのままだとメンテナンスがまあまあ面倒なのですが、撥水剤に頼ることにして見た目の魅力と質感を優先しました。
ちょっと排水の勾配が甘く、水が捌けきらないところもありますが、今の所しばらくすると乾いているので大丈夫そうです。
水栓は天井から銅の給水管が下りてきて水が出るというシステムにしています。
玄関から階段に登る箇所にあるため日常的に目に付く場所ということで、いかにも手洗いというイメージにならないようにこのような形にしました。
使ってみたところ、ハンドルから吐水口まで距離があるので回してから水が出るまで一瞬間がありますが、思ったほど気になりませんでした。
難点は、縦に水が落ちる際に空気と混ざり合い出水が安定しない点で、通常の水栓より少し跳ねます。

ハンドルはシャワーユニットなどで使うタイプの埋め込みバルブを使います。
バルブのハンドルは水栓の銅に合わせたものを探して、コーラーで良さそうなのがあったのですが、コロナのせいなのかわかりませんがいつまでも納期が出ないので中止。
グローエに近いタイプが見つかりましたが、これは日本では銅色を扱っていなかったので思い切ってイギリスから購入しました。
イギリスの配管サイズは日本と同じなので使用に問題はなく、埋め込みバルブ部は日本で売られているものが使えるのですが、これがまた品切れで竣工後まで入荷しないとのことで、この部品も一緒にイギリスから入れることに。
結果的に送料を入れても日本で買うより安いということでまあラッキーでした。
また、ここは単水栓ですが、冬に水しか出ないと手洗いが手抜きになりがちなのでお湯が出るようにしています。
ただ、夏場は水のほうが良く、このシステムですとメインの給湯器の電源を切らないと水が出ないので、思い切ってここ専用の給湯器を入れました。
「混合栓にすればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、この場所にしっくりくるものが見つからなかったのでこれはまあ仕方ない。
ちょっと贅沢な感じもしますが、数万円の一番小さいタイプの給湯器を水栓近くに設置するのはお湯待ち時間も短くなるので外のスペースが許せばありでしょう。
この用途だと水栓下でメンテナンスできるある程度のスペースがあれば電気即湯器が一番良いかと思いますが、結構大きなスペースが必要で今回は意匠的な問題で見送りました。

その他に少し普段と違う例としては洗濯機には洗濯パンは設置せずキャスター付きの洗濯機台を使っています。
ドラム式洗濯機を洗濯パンに設置すると周囲の掃除は絶望的ですが、洗濯台だと動かして掃除できます。
キャスターはストッパーを掛けてますが、タイルの上を引きずって動かしてます。
運転中に位置がずれることはなく、これは結構おすすめです。(柳本)