明けましておめでとうございます。本年もエキップをよろしくお願いいたします。
ずいぶん時間が空いてしまいましたが、新年一発目ということでベトナム・カンボジア旅行記のカンボジア編をご報告いたします。シェムリアップで1泊しただけなので、アンコール遺跡群の一部さらっと見てきただけですが、ガイドのサムディーさんのおかげで成り立ちから現在抱えている問題までを垣間見ることが出来ました。
宿泊した場所は中心部からやや離れた、地元の人々や民家に囲まれた場所だったので生活の様子を多少感じることが出来ました。建物は木造かRC造が多く、家自体は立派な物から簡易なものまで様々でした。基本的に地震や台風といった自然災害とは無縁なようで、あまり構造的に強くはなさそうな建物に思えました。
ある程度立派な家には必ずと言っていいほど門に蛇神ナーガ像がありました。
近所の用水路は生活排水が垂れ流しになっているようで、油が浮いていましたが、そんなところでも子供は釣りをして遊んでいました。
人々は総じて明るい印象で、向こうから「写真撮って」と声をかけてくることも何度かありました。
道路はほとんど舗装されていませんが、水の滲みにくい粘土を使うことで雨が降っても比較的歩きやすくしているとのことでした。
農耕用の牛をよくみかけましたが、みな痩せています。
アンコール遺跡群についてはわずかな予備知識しかなかったためにサムディーさんが地面に図を描きながら丁寧に説明してくれました。トップの写真はアンコールワットの日の出のものですが、春分の日と秋分の日にアンコールワットの中心から日が昇るようになっているため、訪れた時期(10月末)は向かって右から日が昇っています。
この遺跡群は軽くて加工のしやすい砂岩を使っているので表面がざらついているのですが、観光客が触ってしまうと皮脂が砂岩の表面の穴に詰まってしまい、呼吸が出来なくなって劣化してしまうとのことです。上の写真は一部が劣化し始めている状態です。
劣化がさらに進むとこのようにテカテカになってしまいます。簡単にされるようになっているので何も知らずに触ってしまうのは仕方がない状態ですが、少なくともガイドは事前に説明しないといけないとサワディーさんは熱弁していました。
彫刻だけではなく、組積もかなり緻密に施工されており、当時の道具でどれだけの労力がかけられたのか想像もつきません。
ガジュマルの木による浸食が激しい、アンコール遺跡群のなかでも異色のタ・プロームです。今やガジュマルが遺跡を支えているようでもあり、修復をすべきか否かの議論が現在も進行中のようです。個人的には現状のまま保存してほしいところですが、この景色を見たい方は早めに訪れる方が良いかもしれません。
遺跡の駐車場には子供が花を売ったりおかしをねだったりしていました。親が働かずに子供に働かせて学校に行かせないというパターンが多いようですが、中には自身の学費を稼ぐために物を売ってる子供もいると聞きました。今回はかなり小さな子がついて来たので飴をあげてその場をしのぎましたが、何が正しいのかはわかりません。
シェムリアップの平均月収は6千円程度と聞きましたが、オールドマーケットに行った感じでは押しが弱く、何故かおまけをくれたりとおおらかな気質を感じました。日本人とも似た気質なのかもしれません。
なにぶん短い滞在だったのでカンボジア本来の姿を見たかはわかりませんが、観光地の治安は安定していて日本人にとっても滞在しやすい風土のように思えました。アンコール遺跡群は日々復旧が進んでおり、なるべく元の姿を見たいという方は早めに行かれた方が良いと思います。(柳本)