電磁波についての覚書

  • 2013/04/25
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電磁波と正しく付き合うなんとなく「電磁波は体に悪い」というイメージを持っている方は多いと思います。しかしながら身の回りは電子レンジをはじめ、携帯電話やIHクッキングヒーター、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、こたつに電気カーペットなど(要は電気製品全て)電磁波が出るもので溢れています。この度たまたま電子レンジによる身体への影響について調べる機会があり、せっかくなのでまとめます。(あくまで私見ですので参考程度に読んでいただければと思います。)

結論から言いますと、電子レンジについてはよほど近づいたまま生活しない限り身体に影響はないように思われます。

調査にあたり最初に参考にしたのはバイオイニシアティブレポートの2012年度版です。全部読むのは骨なので、とりあえず一番影響を受けそうな小児白血病の項(SECTION 12: EVIDENCE FOR CHILDHOOD CANCERS <LEUKEMIA>)を読んでみました。まず根本的な話ですが、身体に影響を与えるのは電磁波の要素内でも特に磁界レベル(単位がガウスとかテスラのもの)のようです。日常磁界レベル4mG(ミリガウス)以上に晒されていた子供と1mG以下に晒されていた子供についての比較表がありますが、この結果に基いた見解は「磁界レベルと白血病の何かしらの関連性について否定する者は少ない」ものの「公衆衛生への影響はあるとしても限定的で、不確か」とのことです。余談ですが、チェルノブイリの事故後の被曝による明確な影響も認められていないようで、信じる信じないは別としても福島原発近くの方々にとっては朗報かと思います。

また、環境省の「平成16年度生活環境中電磁界に係る調査 報告書」及び「平成17年度 一般環境中電磁界暴露に係る情報収集 報告書」によりますと、小児白血病については「住居環境で0.3μT(マイクロテスラ:1μT=10mGなので0.3μT=3mG)以上の暴露を受けると相対危険度(relative risk:RR)は1.7」と報告されています。ただし、「100m以内に高圧送電線がない家屋で小児の寝室の磁界レベルが0.1μT を越えていたのは、計723 名中、62 例(6.4%)、0.2μT以上は24例(3.2%)、0.4μT以上は5例(0.7%)」との記述もあります。また、その他の悪性腫瘍については明確な因果関係が判断できる論文は認めていないとのことです。

上記の点を踏まえた上で環境省の報告書にある電子レンジやその他家電による磁界レベルと距離の関連表を見ると、現在一般的に普及していると思われるインバータータイプの電子レンジの場合で機器表面から50cm離れた点での磁界レベルが方位によりますた0.49μTから0.97μTとなっています。やはり作動中にあまり近くにいるのはよろしくない気はしますが、一日に使用する時間を考えると気にするほどではないというのが私なりの結論です。また、IHクッキングヒーターについては100Vタイプは結構高めの数値ですが、ビルトインで多く普及している200Vタイプであれば電子レンジ程度の磁界レベルと言って差し支えないのではないでしょうか。製品によりまちまちですが、距離1cmから50cmまでのデータが記載されており、概ね距離に反比例するような値なので電子レンジ作動中は1mも離れれば全く問題無いように思えます。ちなみに個人的に意外と数値が大きいと思ったのは洗濯機でした。あとリニアモーターカーの床上で600~4000μTとありちょっと怖いです。

ついでに一般的に売られている電磁波遮蔽シートなどを調べたところほとんどが電界遮蔽タイプ(ノイズの発生を抑える)で磁界レベルを下げる商品というのは非常に少なく、あっても高価です。よほど気になる方でなければむやみに近づかないという程度で良いのではないでしょうか。

実際は低周波と高周波の場合でも違いがあるようですし、現代ではさらに身近になった携帯電話の場合はどうなんだということもありますがその辺については追って勉強していこうと思います。(柳本)